« 正範語録 | トップページ | 夫婦円満の秘訣 »

あきらめるのが好き

ぼうっとしてるあいだに月日は流れ、私はもう、おばあさんだ。
年齢を重ねていくと、あきらめることが増えていく。
それがとても楽しい。
私は、あきらめるのが大好きだ。様々なことをあきらめていく。 
20代も後半になれば、体力は10代の頃とは、違ってくる。
オールナイトで起きているのがきつくなってきた。
しかしあきらめて、この体力で生きていくのだ。
身の上に落ちてくる諦念(ていねん)という言葉を甘受したい。
失恋が好き。
あの人をあきらめられる。
失業が好き。
買い物をあきらめられる。
「あきらめる」の語源は、「明らかにする」だという。
物事をはっきりさせる、ということから、意味が変化していったのだ。
あきらめていくと、素っ気ない私が見えてくる。自分が明らかになっていく。
だるいのが好き。
勉強をあきらめられる。
年をとるのが好き。
可能性をあきらめられる。
ばかにされるのが好き。
プライドをあきらめられる。
あきらめてもあきらめても、しぶとく私が残る。
どんどんあきらめていくと、飲み干したあとの、
ラムネ瓶で揺れるビー玉のように、自分の芯だけが、
自分の体の中で、カランコロンと音を立てて残る。
そのビー玉は、なんでもやりたがるし、どこまでも転がる。
うまくいかないのが好き。
成功をあきらめられる。
遅いのが好き。
スピードをあきらめられる。
空腹が好き。
おいしいものをあきらめられる。
迷うのが好き。
効率良く進むことをあきらめられる。
眠いのが好き。
シャキッとするのをあきらめられる。
どんなに捨てても、立ち上る欲望だ。
食欲、睡眠欲、性欲、人とつながりたい欲、
新しいことを考えだしたい欲、自由に行動したい欲、きりがない。
丸い指、薄いまぶた、太いもも、これが私だ。
あきらめてもあきらめても、生きていける。
自分は、すごい。

ほんのたまにしか読まない新聞でこのコラムを見つけた時、即座に切り抜いてずっとずっと大事に残しておいた。
「あきらめたらそこで終わり。」スラムダンクでの安斎先生の名言。
「あきらめる」って、とてもネガティブで否定的な言葉だって擦り付けられてきたけど、角度を変えて見れば、こんなにもポジティブで、自分を肯定してあげられるんだって、パッと目の前が明るくなった気分でした。
こんな捉え方を提唱するなんて、なんて素敵な人だろうと思ったら、そのタイトルと永作博美主演で話題になった「人のセックスを笑うな」の原作者、「山崎ナオコーラ」さんの連載だと後に気づきました。
映画もおもしろかったけど、このコラムを読んで、私はいちファンになりました。
5年後も10年後も読み続けて、その度に実感し、その時の自分を包んであげたい。
パートナーとも呼べる、そんな言葉です。

« 正範語録 | トップページ | 夫婦円満の秘訣 »

読書より」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1102266/47267779

この記事へのトラックバック一覧です: あきらめるのが好き:

« 正範語録 | トップページ | 夫婦円満の秘訣 »